electrictry’s diary

2024年自由律俳句と川柳に興味をもつ

寒くて丸くなる

お母さんが布団を敷くまで

タオルケットにくるまって待つ

あまりにも寒すぎたので

お兄ちゃんはくるまりながら

時々蹴ってくる

むかついた

 

布団が敷かれると

すばやくもぐりこみ

お母さんに冷たい足をくっつける

「ひゃあぁぁ、冷たい!」

 

お母さん

毎日布団の上げ下ろし

大変だったね

 

熟し柿

母が財布から100円玉を出す

「そら、熟し買ってこい」

食いしん坊の私は

熟しをおなかいっぱい食べたくて

外の寒さなんか平気

 

「テント」と呼ばれる駅近くの直売店はいつも賑わっていた

傷やつぶれた柿がバケツいっぱいに入って100円!

 

ビニールいっぱいの熟しは重たくて

ふらふらしながら自転車を押して帰る

 

テーブルに広げられた新聞紙の上に熟しを全部置くと

家族でもくもくと食べる

みんな口も手もべとべと

でも甘くておいしくて

にこにこだった

 

かけがえのないもの

       

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きっかけで

出会えた

触れ合えた

繋がれた

かけがえのないものと

 

今ここにいる理由

 

かけがえのないものに

出会うためだったのか

 

そしてかけがえのないものが

生み出される

あの場所に

また戻っていくのだろうか

 

 

 

 

 

きっかけ

 

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この世界は役が多い

役をこなしている間は

与えられた場所の中での

日向ぼっこができる

しかしなりたい自分を見つけて

役を変更するには

大変な労力が必要だ

役はなんのためにあるのだろう

 

わたしは兄だから妹の面倒を見る

いやちがう

わたしよりも小さいから

わたしよりもどんくさいから

ちがう

 

ただ一つ言えることは

役は関わるきっかけになる

 

 

 

 

 

 

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この二人がわたしの父と母という役をしている

この二人は役についてたまに言い争いをしている

嫌な気分になる

そんなときは目をつむっておくか

二人から離れて空でも見るといい

 

わたしはこの二人の関心から

逃れることはできない

それはずっと前からわかっていた

 

なぜかわからない

いやわかっている

 

わたしに寄り添ってくれる

その心地よさを知っているからだ

 

 

 

 

 

らしさ

 

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赤い子のグループ

青い子のグループ

赤い子は赤い子らしく

青い子は青い子らしく

 

いつの間にかグループに入っていた

 

本当は青ではなく

水色が好き

それも海ではなく空のほう

季節は夏

夕立の後の空

 

気持ちをどう伝えたらいいんだろう

グループを離れるとどうなるんだろう

 

 

 

 

 

物語

 

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誰かが輝いて見えるときがある

わたしよりもジャンプが高い

わたしよりも足が速い

わたしよりも注目される

わたしはこの人の物語のわき役なのか

もしくはわき役にもなれないのか

 

親の物語の中では

中心におかれることもある

でも誰かの物語の中にいると思うと

ときどき息苦しくなる

 

わたしはわたしの物語の中にいて

誰かの物語の中にはいない

 

 

 

 

 

共感

 

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気晴らしに歌ったり踊ったりしていると

不安がやわらぐ

誰かと一緒だと楽しくなる

わたしは共感がほしかったのか

生きている不安に共感してほしかったのか

先輩として何か教えてくれるのではない

答えではない

「わたしも不安なんだ」と

 

 

 

 

 

違和感

 

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先に生きている先輩たちに

生きている不安を打ち明けた

先生は「友人をつくり、外で遊ぶといい」

親は「善い行いをすれば天国に行ける」と言う

生きている不安は考えてはいけないことのような気がした

楽しそうな人を見ると

何かわたしと違う気がした

 

 

 

 

 

不安

 

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わたしよりも先にこの世界にいる人よりも

いた人たちのほうがたくさんいる

わたしもいつかはいた人になるのかな

体は自由に動かせるけれど

不随意筋は動かせない

息を止めると苦しい

自由なようで自由ではない

怖い

わたしはどこにいたんだろう

どこから来たんだろう

どこに行くんだろう

 

 

 

 

 

 

わたし

 

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いろんな形を知った

形の中にある形

形の外にある形

「木」「山」「雲」「地球」

見えない形

「勇気」「希望」

どうしてそれがあると思うのだろう

形を考えている形

わたしは「わたし」と出会う

色が風が祝福しているようだ

 

 

 

 

 

 

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硬い、冷たい、苦い

強いエネルギーが

刺激してくる

激しく温かい振動が

刺激してくる

振動を真似てみた

「はっぱ」

 はっぱという形を知った